彫刻家・永井天陽は、アクリル材や剥製、既製品などさまざまな素材を使い、見えるものと見えないものの境界を形にする作品で注目を集める。本展では、アメリカで普及しているガーデンオーナメントを取り入れ、異なるモチーフ同士が響き合いながら新しい関係性や物語を紡ぎ出す。彫刻の細部や内部構造にまで意識を向けることで、日常に潜む曖昧な境界線や違和感を静かに浮かび上がらせる。

Solaya Nagai, metaraction #35 PL-1, 2025
Stuffed animal, Acrylic
36 x 30 x 8 cm
Photo: Riko Takagi
写真家・川谷光平は、写真集『Tofu-Knife』で「Kassel Dummy Book Award 2020」最優秀賞を日本人として初めて受賞。今回は、日本の手芸文化でしか流通していない造花「アメリカンフラワー」をモチーフに、20世紀中盤のアメリカの家庭像を想起させる鮮やかでどこか不自然な写真シリーズを展開している。色彩の鮮烈さと細部まで写し取る手法が、日常に潜む違和感やユーモアを際立たせる。

Kohei Kawatani, American Flowers 08, 2025
Archival pigment print
彫刻と写真という異質なメディアを通じて、両者は「見る」という行為に意識的に取り組んでいる。懐かしさと違和感が交錯する空間は、鑑賞者の記憶や感覚を揺さぶり、新しい視点を与えてくれる。庭をモチーフにした作品群が織りなすこの展示は、日常を少し別の角度から捉え直すきっかけになるはずだ。

本展の会期は9月20日(土)から10月19日(日)まで。オープニング・レセプションは9月19日(金)に開催予定。ぜひ足を運んで、二人の視点が生み出す「庭」の世界を体験してみてほしい。