戸田健太は、独学でスニーカーの製作技術を学び、2022年からシューズメイカーとして活動中のアーティスト。「意味のプロダクト」と化したスニーカーの持つ記号性や身体性、意匠に強い関心をもち、それらをモチーフにした作品を制作する。
ラグジュアリーの多くには、牛革などのレザーが使用されているため、当然それは、細かく裁断された加工肉と呼ぶことができる。しかし我々は、大昔から動物を「肉(meat)」と「革(leather)」という個別の概念に切り分けているため、レザー品を見たときにそれが肉片だと思うことはないだろう。一方で、大量生産の象徴でもあるスニーカーは、消費文化の対象でありながらも、劣化防止まで施されるなどまるで生肉のように扱われている。
今回の展示では、消費社会の中で個別に流通されながらも繋がり合う「食」と「物」の境界を崩し、一度離散した「肉」と「革」を元の関係に再配置した「加工肉」スニーカーを新たに発表。動物愛護の観点や肉食文化の否定や肯定の問題ではなく、スニーカーの存在における消費生活との繋がりを問いかける展示内容になる。独特な世界観でスニーカーの可能性を広げる戸田健太の個展にぜひ足を運んでみて!