JennyFax の今季コレクションのテーマは「Wesley (ウェスリー)」。2023年春夏コレクションのテーマ「かわいいのにかわいそう」で注目したユニフォームをベースとしたスタイルから引き続き、今回はスクールユニフォームから着想を得ている。また昨今のSNSや広告の影響力のほか、従来考えられてきた「理想的な体型＝スリム」というイメージから徐々に多様性が見えるようになった時代背景を受け、本コレクションでは、スクールユニフォームの一般的なイメージを逆手にとった新たなボディシェイプを提案。
腹部や首もとがゆるく落ちたシャツや、一見ビッグサイズのシャツに見えるダウンコート、たくさんのパッドが付いたニットセーターなど、スクールユニフォームのイメージを革新するようなユニークなアイテムが並ぶ。その想いの裏には、ブランドデザイナーの SHUEH Jen-Fang (シュエ・ジェンファン) が学生時代に同じように体型に悩んだ経験から、デザイナーとして同じようにコンプレックスを抱く人たちを応援したいという気持ちが込められている。
そして今回 JennyFax の初めての試みとしてトレンチコートやダッフルコートといった冬物のアウターも展開。スクールユニフォームから着想を得た今季のコレクションにおいて、象徴的なアイテムとなっている。さらに今季の注目アイテムは、ニットブランド「i know catamari (アイ・ノウ・カタマリ)」とのコラボレーションによるアームウォーマー。手編みならではの繊細さが、思春期に社会と自分の間で揺れ動く複雑な心を表しているとシュエ・ジェンファンは言う。
またルックも新たな試みとして初めて日本での撮影を決行し、これまでロサンゼルスや砂漠地帯などカラッとした自然風景の中で撮影していた印象と異なり、今回は日本家屋を舞台に日本のホラー映画のようなおどろおどろしさが漂うビジュアルを撮影。クリエイターにはここ数シーズンタッグを組んでいるフォトグラファー Moni Haworth とスタイリスト Lotta Volkova のほか、過去にも JennyFax のショーの小物を手がけているアーティストさちこが制作を担当する。ノスタルジックな作風が印象的で、今回はガムのようなオブジェが付いた重たい印象のウィッグを手掛けた。日々進化を続け唯一無二のブランドとなっている JennyFax。その独特の世界観に引き込まれるようなコレクションとビジュアルは、ファンならずとも必見だ。
