1998年に創刊された『Richardson Magazine』は、世界トップクラスのクリエイターやアーティストが、エロスという最も人間的なテーマをカルチャーと融合させて表現した、世界初のフォトマガジン。タブーとされてきた「性」についての倫理的な問題や複雑さに向き合うアーティスト達を取り上げ、「性」にフォーカスした情報と刺激を提供し続けている。不定期刊行、そして休刊を挟んだため、わずか10号という少ない刊行数ではあるが、アートとポルノの融合という唯一無二の世界観で着実にファンを増やし、その地位を築いてきた。
『Richardson Magazine』は、日本と深い関係があることはご存知だろうか。創刊のきっかけとして、Madonna (マドンナ) の伝説的な写真集を手がけたことが挙げられるが、ファッションを中心としたアート雑誌『DUNE (デューン)』の林文浩編集長の提案も、その一要素だったという。また、Richardson がファッションブランドとして確立するトリガーとなったのも日本での出来事が関係している。Andrew Richardson 自身が、日本のフォトグラファーやアーティストがブランドのカルチャーに共感し、服を購入する光景を目の当たりにしたことで、ジャパーニーズファッションカルチャーを参考にし、ブランドの再活性化を図ったのだ。
本展では、バックナンバーの A-1から A-10までのアートワークとエディトリアルが展示されるほか、Steven Klrin (スティーブン・クライン)、David Sims (デイビッド・シムズ)、Glen Luchford (グレン・ラッチフォード)、Gogy Esparza (ゴギー・エスパルサ) といった、アーカイブの表紙などを手がけたフォトグラファーによる、オリジナルプリントを展示、販売。さらに、ポップアップを記念し、 Richardson × Domicile Tokyo の限定 T シャツ2型が数量限定で発売される。
本ポップアップで展開される2023年春夏コレクションは、90年代のレイブカルチャー、エロティックマンガ、歪んだアメリカーナがテーマとなっている。90年代のカルトアニメ『Bondage Fairies (ボンデイジ・フェアリーズ)』とのコラボレーションや、アイコニックなアーティスト Darja Bajagić (ダージャ・バジャジッチ) のダークグランジグラフィック、Mott Archive (モット・アーカイブ) の UK パーティーフライヤーコレクション、『New Age: Stonehenge to Jungle (ニューエイジ: ストーンヘンジ トゥ ジャングル)』のフライヤーアートワーク、そして ウィッチハウスのパイオニアと言われる S4lem (セーラム) の創立メンバー John Holland (ジョン・ホランド) によるニューデザインの数々をフィーチャー。今回のコレクションでは、クルーザージャケット、プリーツチノといったアメリカンシルエットのアイテムを発表する一方で、 Richardson ワークウェアやパンツなどの定番ワークウェア、さらに MMA ラッシュガードやボードショーツ、ウォームアップジャケットといったスポーツエッセンスがプラスされたアイテムも展開した。また、星条旗柄のパッチワークを施したデニムパンツや3色使いのエラスティック・スイムスーツなどのアメリカンテイストのアイテムも登場。
創刊から四半世紀たった今でもなお輝き続ける『Richardson Magazine』。Andrew Richardson、そして多くのアーティストが提案し続けてきたポルノというレンズを通して映し出されたカルチャーを見つめることができるポップアップは、3月26日(日)まで Domicile Tokyo にて開催されている。ぜひ、この機会に足を運んでみては?