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位相をずらすことで笑いが見えてくる『だぶるじぇい』
Date: 31 Jul 2010

文:藤井寿博(@suzukikazuo


今回はマンガの話。マンガに関して一発目に何を語るのがいいのか、というのは結構悩みどころ。いきなり通ぶって話してしまうのもなんかしらけてしまうし、かといってみんなが知ってる『ワンピース』とか紹介してもしかたがない。で、すごく中途半端な、でも今までの話の流れからはずれないようなものを紹介しようと思います。


『だぶるじぇい』


知ってます? 週刊少年マガジンに連載中のギャグ漫画です。現在2巻まで刊行されています。このマンガ、原作者が野中英次。あの『魁!!クロマティ高校』でヒットを飛ばしたマンガ家です。『魁!!クロマティ高校』はアニメ化も映画化もされたくらいのヒット作品なので知ってる方も多いのではないでしょうか?

 

 

 

この野中英次の作風というのが、『男組』や『クライング フリーマン』などで有名なマンガ家 池上遼一の劇画風の作画をギャグマンガに応用したという、実にポス トモダンなものなのだが、この『だぶるじぇい』では、作画を亜桜まるという、ちょっと画風的に萌え系な作家に委ねています。ちなみに亜桜まるというマンガ家を僕は『だぶるじぇい』で初めて知りましたが『090えこといっしょ。』『14(ジューシー)』といったマンガを描かれているようです。
池上遼一的作画と萌えは対極にあるような作風なので、今までの野中作品からの逸脱、という実験があります。





しかも1巻に収録されているネタが野中作品であまりヒットしなかった『ドリーム職人』のネタをそのまま流用しています。もちろん、『ドリーム職人』を知らない人にはそのままのギャグで通用するのですが、野中作品が萌えになったときの位相をずらすことによるおかしさ、を実践しているのです。また、野中作品にある、池上キャラなのに、ギャグ的なおもしろさもあって、野中マンガの物語なのに、女性キャラは亜桜まるの萌えキャラ、だけでなく、横山光輝のキャラや本宮ひろしのキャラが次々登場しています。さらに単行本では表紙の亜桜まるのキャラを野中英次が書いたものがカバーを外すと現れたり、位相をずらすことによる笑いを徹底して追及しています。ただ、狙いすぎてて裏の裏が表、みたいなよくわからないところもあったりするのですが…